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01月07日(木)

Ian Watson, "Divine diseases", Nature 462, 1088 (2009)

2009 年最後(12/24, 31号)の Nature 誌 Futures は、プロの SF 作家によるちょっと凝った作品と言えようか。病気の関係の言葉など、難しい単語が多くて、前半は特に閉口した。

 基本的なアイディアは、キリスト教の神はご自分の姿に似た形に人間をおつくりになったので、人間と同様の病気に悩まされるはずだというようなことか。最初の方は宇宙の創成や人類の歴史と並行した形で神の病気について語る。後半はミサにおける聖体拝領での秘跡(パンとワインがキリストの肉と血になる)が何百年も多くの信者によって行われ続けてきたために、キリストの体はどんどん肥満化していき、もはや地球上には尊厳をもって再降臨することができなくなり、地球のまわりをまわる新しい月となったとされる。最後のメッセージ Too Much Mass! は、質量を持ち過ぎたという意味と、ミサが多過ぎるという意味をかけているものと思われる。

 つまり、年末を締めくくるにふさわしい、壮大なユーモアともいうべきストーリーであった。まあ、こういう話はイスラム教では許されないだろうなという印象はうけた。もっと教養が深ければさらに楽しめたのかもしれない。完全に理解できたかどうか自信がないが、星3つとしておこうか。
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12月27日(日)

Julian Tang, "Rejuvenation", Nature 462, 950 (2009)

2009年12月17日付け Nature 誌 Futures は、おなじみ Julian Tang によるもの。軽めのお話だが、前半の描写がいきいきしていたため、結構楽しめた。タイトルは「若返り」とか「再生」とかいう意味だそうだ(juvenile と語源は同じなのだろう)

 A級物理クラスでマーフィー先生が学生達を相手にホフマン渦について質問している。この質問の様子と、順番に答える学生の描写がうまく、読んでいて楽しい気分になった。ホフマン渦には若返り効果があることが微生物で証明されているが、それを人間レベルに応用するには、ジレリウムという元素を大量に合成する方法をみつけなければいけないことがわかる。そこにBenという学生が、ホフマン渦について、一般には知られていない新しい仮説を紹介する。授業はそこで終わりになり、先生はBenに少し残ってくれるよう頼む。実はBebは賞金稼ぎとして、Murphy(実は異星人でホフマン渦を使って時空を渡り歩いている)をずっと追ってきたのであった。Murphyは黒板の中に沈み込むように消え、Benもまたより優れた装置を使ってどこかの時空にジャンプするのであった。

 全体が映像的で、特にひねった結末や深いテーマがあるわけではないが、よく書けていると思う。星4つ。
 
12月19日(土)

Eric Brown, "In the recovery room", Nature 462, 818 (2009)

2009年12月10日付け Nature 誌 Futures は、たぶん久しぶりにプロのSF作家の作品であり、なかなかの味わいであったが、ストーリーに完全についていけたかどうかはちょっと自信がない。

 Intrepid という巨大宇宙船では多くの AI が働いているが、その中で故障のために十分に働けない AI 二体が哲学的な会話をかわす。いわく、我々はなぜここにいるのか、など。どうやら彼らは目的もなく宇宙空間で作業をしており、資源を使い果たしそうな勢いらしい。AI が自然に発生したという学説を議論するさまはユーモラスで笑える。終わり近くで、掘り出されてきた資源として、いわゆる生物が捕獲されていて、「科学の進歩」と叫んだりするようなのだが、この意味がよくわからなかった。AI の一台はこれが将来、船を乗っ取って、AI種を支配するだろうと恐れているのだが。

 シュールなイメージと奇妙な味わいがいい感じなので、星3つ(意味がもっと良く理解できれば4つかも)。
 
12月12日(土)

Nye Joell Hardy, "Press '1' to begin", Nature 462, 688 (2009)

2009年12月3日号のNature誌 Futures は、あんまり SF チックではないけど、楽しく読めた。オタク的というか、自閉症的になった若い男性主人公 Andrew が、社交的な会話を学ぶオンライン授業に申し込んだが、女性と思われる講師がオーディオインターフェースを通して話しかけても、恥ずかしがって、タイピングを通してしか応答してくれない様子をユーモラスに描いている。最後は、なぜ彼がこのクラスに申し込んだのかを講師がチェックすると、外出してデートしたいと思っているらしいことがわかり、主人公はますます恥ずかしがっている様子のところで終わる。作中で講師が Martin Pawley という人の作品の中から引用を行うが、今ひとつその面白さがわからなかった。実在の人物のようだが。
最近は長いこと個人的に楽しめる作品がなかったので、ちょっと甘めで星4つ。

追記:引用されていた本 The priate future は、1970 年代に未来の(このお話的)状況を予言しているということらしい。
 
12月06日(日)

Shelly Li, "The imitation game", Nature 462, 534 (2009)

2009年11月26日付け Nature 誌 Futures は、おなじみ Shelly Li によるものだった。いわゆる Turing test に関するお話だが、いまひとつ何が面白いのかよくわからなかった。あらすじは、Turing となづけられた人工知能が、壁の向こう二人の被験者と会話をして、どちらが男でどちらが女かを推測するという試験を受けている。片一方は常に質問に対して正しい答えをかえし、もう一方は常に嘘の答えを返すことがわかっている。Turing は考えた結果、自分の推測結果を自信をもって報告する。それに対して、育ての親の Conway 博士は、その推測が正しかったと祝福し、試験にパスしたと宣言する。しかし、本当のところは二人の被験者はどちらもコンピュータであり、性別をあてさせるというのはそもそも当たるはずのない問であった。なぜTuringに嘘をつくのかを問われた Conway は、「この世では信念こそが唯一大切だから」と答えた。このストーリーはチューリングテストを人工知能にさせるという二重底になっているのであるが、二番目のテストでは、人工知能をより人間らしくさせようとして、根拠のない自信をもたせようという皮肉が肝なのだろうか。自信がない。。星二つ。
 
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